膝の痛み「オスグッド」の原因と治し方、予防法を柔道整復師が教える
「オスグッドってなに?」
「どうしてなっちゃうの?」
「なんで膝の骨が出っぱるの?」
「成長痛なの?この痛みと付き合っていかなきゃいけないの?」
医療の現場で働いているとそんな声をよく聞きます。オスグッドの膝の痛みに悩む人は多いです。
なので今回は柔道整復師の国家資格をもつ治療家のぼくが
このオスグッドの原因と治し方、予防法をわかりやすく教えます!
オスグッドシュラッター病とは?
オスグッド・シュラッター病(オスグッド・シュラッターびょう)は、サッカーやバスケットボールなどのスポーツをする中学生や高校生に多く見られる、膝の脛骨が出っ張って痛むという骨軟骨炎である。オスグッド・シュラッター症候群ともいう。
多くの患者は、膝の脛骨の付近の痛みや膝裏の痛みを感じる。様々なスポーツでジャンプや屈伸を行うことにより、大きな衝撃が膝(脛骨)付近に生じ、脛骨粗面付近に炎症が生じる。脛骨粗面に存在する骨端核に機械的牽引力がかかることに起因するとされる。このため10 - 15歳の活発な発育期の男子に多く発生し、運動時に症状が強く現れる。
スポーツをやっていた人は知ってる人も多いのではないでしょうか? このオスグッドは成長痛とも言われ、小学生〜中学生に多く発症するんですね。
主にサッカーやバスケ、バレーボールなどをやっている子に出やすいです。ぼくはサッカーをしていたのですが、チームに4〜5人はオスグッドの痛みに苦しむ友達がいました。
膝の骨がボコッと前に出るので、当時初めて見たときは「なにこれ!?」と叫んでしまいました。
オスグッドになる原因
「オスグッドって成長痛なの?」という声をよく聞きます。
たしかに骨端線が閉じる前の成長期に発症するものなので成長痛といえば成長痛ですが、「成長痛だから治らない。仕方ない。」というわけではありません。
当然ながらオスグッドは「発症する子」と「しない子」がいます。
単に成長痛というのならば多くの子に発症してもいいはず。しかしそうではない。そこにはちゃんとなってしまう原因があるんですね。
大腿四頭筋の緊張
オスグッドになってしまう一番の原因が
大腿四頭筋の緊張によるものです。というよりほとんどの原因がコレ。
大腿四頭筋とはココのこと。ももの前の筋肉ですね。
この筋肉は、主にジャンプをしたり、踏ん張ったり、なにかを蹴ったり、しゃがんだり、そうゆう動作のときに使います。(だからサッカーやバレーボールをする子に発症することが多い)
そしてこの筋肉を使っていくと、筋肉がどんどん緊張状態になっていきます。緊張状態とはつまり縮んで固くなった状態。こうなってくるとキケン信号なのです。
筋肉の特性
伸びたり縮んだりするんですね。
オスグッドの場合
で、オスグッドに話を戻すと、まず成長期の小学生や中学生はスポーツや激しい運動などによりももの前の大腿四頭筋に負荷がかかり、この筋肉が緊張状態になるんですね。
そうすると筋肉が縮んで固くなるので、この筋肉が付いている付着部(下図の赤矢印のところ)が引っぱられます。
筋肉は、関節をまたいで骨から骨にくっついているわけですから、緊張状態が続くと、その骨にくっついてるところを常に引っぱっちゃうんですよね。ずっと牽引されている状態。これがアカンのです。
つまりこんな感じで、、
大腿四頭筋が縮んで固くなると、付着部の脛骨粗面(青枠のとこ)をつねに引っぱる状態になります。
骨というものも常に代謝をしていて、中の成分が毎日作ったり壊されたりを繰り返しています。そのなかで常に牽引された状態だと、だんだんと剥離していき、骨変形を起こします。そして外から見たときに膨隆してみえるのが皆さんの言うオスグッドというものなんですね。
成長期の子供はとくに骨がまだ成長段階にあり骨端軟骨が存在するので、この影響を受けやすいんですね。
大腿四頭筋が緊張してしまう原因
じゃあなぜ大腿四頭筋とやらが緊張状態になってしまうのか?
その原因はさまざまで、その子によってもちがうので、実際に目の前で診察してみないと分からないところではあるのですが、ぼくが診てきた中での大きな3つの原因を教えます。
①過度な運動
スポーツをやっている子に関して、指導者がスパルタだったり、練習量がものすごかったりすと、その子の筋肉量(キャパ)を超えて使ってしまい、筋肉が固くなりオスグッドを引き起こします。
もともと筋肉量が少ない子なんかは、その運動強度に耐えられなくなるんですよね。
②ストレッチ不足
これはケアが不足していることによるものですね。先ほど書いたように筋肉は使うと縮みます。そしてそのまま放置しておくと緊張状態が続き、固くなっていき、オスグッドを引き起こします。
なのでストレッチをして縮んだ筋肉を伸ばしてあげる必要があるんですね。しかしスポーツ後にめんどくさくてストレッチをしない子が多いのが現状。指導者の問題でもあると思いますが自宅などでは親御さんが管理してあげましょう。
③カラダのバランスの崩れ
カラダのバランスが崩れてしまい、大腿四頭筋に負荷がかかるカラダのバランスで生活してしまっていることによるもの。これが意外と多い。
足底筋の低下によって足底のアーチが落ちて足元のバランスが崩れてしまい、ももの筋肉でカバーしないといけない状態だったり、股関節が開いてしまい左右前後の体重のかかり方がアンバランスになってしまったことによるものだったり。なんらかの要因で大腿四頭筋に負荷がかかってしまう状態があるとオスグッドになりやすいんですね。
この原因とやらは、その子によって違うので専門の治療院(オスグッドに強い接骨院や整骨院)にいって治療してもらいましょう。
治し方
原因の多くが大腿四頭筋の緊張によるものなので、
治し方としては「なぜ大腿四頭筋に負荷がかかる状態があるのか」をまず探ります。
上の①〜③のようなものですね。
そしてその原因から改善していきましょう。
①の過度な運動が原因であれば、まずスポーツをしばらくのあいだ控える。
③のカラダのバランスが崩れていたら、オスグッドに強い治療院などで指導を受けてそれを改善する。
②のストレッチ不足に関しては、痛みが発症したあとのストレッチはむしろ悪化させる恐れがあるので自分の判断ではおこなわないほうがいいでしょう。
以下、おすすめの対処法です。
患部の炎症はアイシングで抑える
痛みのあるときに関して、患部は炎症をおこしている状態で、熱がそこに溜まっている状態なので、アイシングをしましょう。つまり一時的に冷やして炎症を抑えてあげましょう。
《 アイシングのやり方 》
・上図のような氷嚢(アイスバッグ)がある場合はそれを使う
・これがない場合は、水と氷をビニール袋にいれる
・直接患部にあてて、15〜20分冷やす
・患部のみを冷やし、カラダ全体は冷やさないようにしましょう(免疫力が下がってしまうため)
※オスグッドの炎症部分(膝下)はアイシングしますが、大腿の四頭筋の筋腹(ももの前)は冷やさないように。
テーピングを巻く
痛みの強い時期や、どうしても運動をしなければいけないタイミングがきたときは筋肉のサポートをしてくれるテープを巻きましょう。
オスグッドサポートテープ ↓
こんな感じ。自分で巻ける人は。
オスグッドに強い治療院に通う
もうこれが一番ですね。何度も言うようにオスグッドに強い治療院(接骨院や整骨院)を探して通いましょう。専門家に任せたほうが早いです。原因から治すことにフォーカスしているところがおすすめです。
そして予備知識として基本的にオスグッドの治療をする際、筋肉に強い刺激は必要ありません。もっと筋肉が緊張し固くなってしまうからです。大腿四頭筋をゴリゴリと揉まれるようなところは避けましょう
それと整形外科などにいった場合は、レントゲンを撮ってオスグッドと診断されて、安静にしなさいと言われ、痛み止めの薬やシップを出されるか、痛み止めの注射をするか、どうしてもの場合は手術を勧められたりもします。
ドクターは原因から治すというよりも痛みの対処という対応になりがちなので根本から治らず再発症しやすいのであまりオススメしません。理学療法士がしっかりと付いているところなら良いのですが。
あと手術に関してもぼくはオススメしません。後述しますが、オスグッドは骨端線の閉じるハタチ頃には痛みが治まりますし、術後の後遺症のリスクのほうが大きいからです。
予防法
痛みがでる前の予防法の紹介。
大腿四頭筋のストレッチ
前述した通りですね。痛みが出てからは過度にしないほうがいいですが、痛みを発症する前の段階での予防としては効果が高いです。
ストレッチ方法としてはこんな感じ↓
ストレッチをするタイミングとしては運動前・運動後・お風呂上がり
足底筋の強化
こちらの記事(意外!? 日本人が膝を痛めやすい3つの原因)でも書きましたが、足底筋の低下は膝の痛みになかなか関係しているんですね。それほど足元のバランスは大事なんです。
足底筋とは足の裏の筋肉ですね。ここ。
この筋肉を鍛えます。
足底筋を鍛える方法としてオススメなのは、足の指のグーパーです。ゆっくりグ〜ッと握って、ゆっくりパ〜ッと開く。
これを10回1セットくらいで、一日3回ほどやるといいです。テレビ見ながらとか、歯みがきしながらでも出来ます。つらない程度にやってみてください(笑)
成人になると痛みは消える?
オスグッドは基本的には骨端線の閉じる(成長の止まる)ハタチ頃には痛みが引きます。稀に残る人もいるようですが、ほとんどの場合この年齢になると引いていきます。
しかしでっぱり自体は骨変形なので戻らずに残ってしまうケースが多く、もちろん膝をついての「骨が床に当たって痛い」みたいなのはありますが、オスグッドとしての痛みはなくなっていくんですね。
まとめ
一度なってしまうと治すのに時間もかかるし、痛いし、親も子供も苦労するのがこのオスグッド。
しかも子どもはいくら「スポーツをしないように」と言ってもコッソリしてしまったりします(経験談)。そして治りが遅くなっていくという悪循環。そうなる前に対処していきましょう。
この記事が誰かの助けになると嬉しいです。
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